ガードレール
地元にあるそのガードレールは、死者が呼ぶと言われています。
急なカーブでスピードを出しすぎた車が突っ込んでいくのは、いつもそのガードレールだからです。
はじめは事故が起こる度にガードレールは新しくされていたのですが、あまりにも頻繁に起こるため今はそのままになっています。
私は通学路でそのガードレールがあるカーブを通らなくてはいけないことがとても嫌でした。
いつもそこを通る時に足が重くなってしまうからです。
私は霊感が強い方で、偶に見てしまうことがあるのですが、そのガードレールでは気持ち悪い感じがするだけで何も見ることはありませんでした。
ですが、その日は見てしまったのです。
いつものように途中で友達と別れ、カーブに差し掛かった時です。
向こう側から車の音が聞こえ、私はその車が行ってしまうまで待とうと足を止めました。
すると対向車もいないのにけたたましくクラクションが鳴らされて、車がすごいスピードでガードレールに突っ込んで行きました。
その車には、何人かの人がボンネットやフロントガラスにへばりついていました。
そして、ガードレールに突っ込む瞬間、たくさんの細長い手が車を包み込むようにしてガードレールから出てきたのです。
すごい音がして車はぐちゃぐちゃ、後で聞くと乗っていた人はやはり即死だったそうです。
私は、あの細長い手が私にも伸びてくる様な気がして、目の前で交通事故を見てしまったショックもそのままにその場を立ち去ろうとしました。
すると、やはり足が重いのです。
私は背筋が凍る思いで恐る恐る足元を見ました。
そこには、無数の細長い手が私の足首にまとわりついていました。
それからの記憶はありません。
気を失って倒れた私を、車に轢かれる前に近所の人が助け起こしてくれたそうです。
そして、母に連絡が行き、気付いた時は自分の部屋の布団の中でした。
学校へは遠回りをして登下校するようになり、あのガードレールがあるカーブへはもう行かなくなりました。
あの車にへばりついていた人たちと細長い手は、寂しくて私たちを一緒に連れて行こうとしていたんでしょうか…。
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小さい頃、怖い話を読むのが大好きでした。今もですが。
2004.8.1